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犬が動物病院で見せるストレスサインとは?2026年の研究から考える
🐶 動物病院でペロペロ、ブルブル…それ、犬からの「ちょっと緊張しています」のサインかもしれません
「動物病院に来ると、いつもより口をペロペロする」
「待合室では大丈夫そうだったのに、診察台に乗ったら震え始めた」
「診察室に入ると、尻尾が下がってしまう」
こんな様子を見たことはありませんか?
動物病院では、犬さんたちもさまざまな方法で「今ちょっと緊張しています」と伝えていることがあります。
2026年に発表された研究では、実際に動物病院を訪れた犬たちが、どのタイミングで、どのようなストレスに関連する行動を見せるのかが調べられました。
今回はその研究から、
「犬の小さなサインに気づくこと」
について考えてみたいと思います🐾
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🔬 96頭の犬を、動物病院で観察
今回の研究に参加したのは、通常のワクチン接種のために動物病院を訪れた、臨床的に健康な犬96頭です。
研究では、
🐾 待合室
🐾 診察室に入って診察が始まる前
🐾 診察中
🐾 診察が終わった後
という4つの場面に分けて、21種類のストレスに関連する行動を観察しました。
さらに45頭では、赤外線サーモグラフィーを使って目の一部の表面温度も測定しています。
行動だけではなく、身体に現れる変化も組み合わせて調べた研究です。
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🏥 一番ストレスサインが多かったのは「診察中」

結果として、ストレスに関連する行動が最も多く確認されたのは「診察中」でした。
診察中には、96頭中94頭、97.9%の犬に少なくとも1つのストレス関連行動が確認されています。
さらに、75%の犬では4種類以上のストレス関連行動がみられました。
よくみられたのは、
👅 口を舐める
🐕 尻尾を脚の間に巻き込む
💦 身体が震える
👂 耳を後ろに倒す
👀 白目が見える
🏠 隠れようとする
といった行動です。
私たちからすると何気ない仕草に見えるものもあります。
でも、その子が置かれている状況と合わせて見ることで、
「ちょっと緊張しているのかな?」
と気づくためのヒントになることがあります。
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👀 「診察が始まる前」からサインは出ていました
今回の研究で興味深いのは、診察中だけではありません。
診察室に入って、まだ診察が始まっていない段階でも、96頭中84頭、87.5%の犬にストレスに関連する行動が確認されていました。
つまり、
「先生に触られたから怖くなった」
だけではない可能性があります。
病院に入る。
待合室で待つ。
診察室へ移動する。
以前の診察を思い出させるような匂いや音に触れる。
そうした診察前の時間も含めて、犬にとっては「動物病院での体験」なのかもしれません。
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⏰ 待ち時間も関係するかもしれません
研究では、待合室にいる段階ですでにストレス関連行動や目の表面温度の変化が確認されました。
さらに、待合室で5分経過した時点よりも、10分経過した時点のほうが、測定した目の部位の表面温度が有意に高くなっていました。
研究者らは、待ち時間を短くすることなどが、診察前のストレスを軽減する方法のひとつになる可能性を指摘しています。
ただし、
「10分待ったら必ずストレスになる」
という意味ではありません。
犬によって、動物病院への感じ方は違います。
大切なのは、その子の様子を見ることです。
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🐕 「吠えていないから大丈夫」とは限りません
犬の「怖い」「不安」「緊張」は、必ずしも吠えたり、唸ったり、逃げようとしたりするような大きな行動だけで表れるわけではありません。
たとえば、
口をペロッと舐める。
身体を少し低くする。
耳を後ろへ倒す。
尻尾を下げる。
飼い主さんのところへ行こうとする。
隠れようとする。
そんな小さな変化として現れることもあります。
だからこそ、
「診察できたから大丈夫だった」
だけではなく、
「そのとき、この子はどんな様子だったかな?」
と見てあげることが大切です🌱
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🌿 「嫌がってから」ではなく、小さなサインの段階で気づく
行動診療で大切にしていることのひとつが、
「大きな行動になる前のサインを見る」
ということです。
たとえば診察中、
少し身体が硬くなる。
口を舐める回数が増える。
おやつを食べなくなる。
顔をそむける。
逃げようとする。
こうした変化があれば、
「そろそろ負担が大きくなっているかな?」
と考えることができます。
限界まで我慢してから唸る、噛む、暴れる。
そこまで待つ必要はありません。
小さな変化に気づければ、その子に合わせて診察の方法や環境を考えるきっかけになります。
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🍪 「病院=嫌なことをされる場所」にしないために
動物病院は、犬の健康を守るために必要な場所です。
だからこそ、
「病院に来るたびに怖くなる」
という経験は、できるだけ減らしてあげたいと考えています。
診察室でおやつを食べる。
無理のない範囲で診察室を探索する。
できるところから少しずつ身体に触れる練習をする。
クレートやキャリーに普段から慣れておく。
その子によって必要な方法は違います。
大切なのは、
「診察を終わらせること」だけではなく、
「その子がどんな気持ちで診察を受けているのか」
にも目を向けることです。
動物病院でのストレスを減らすことは、犬の福祉だけでなく、その後の診察を続けていくためにも大切です。
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🐾 当院には「動物病院そのものが苦手」な子も来院します
当院には、
動物病院に来ると失禁してしまう子。
病院の建物に入ること自体が難しくなってしまった子。
ホテルに預けられると、ごはんを食べられなくなったり、排泄ができなくなったりする子。
滞在中、ずっと吠え続けてしまう子。
さまざまなご相談があります。
こうした様子は、一見すると「困った行動」に見えるかもしれません。
でも、その背景には、
「怖い」
「不安」
「どうしたらいいのか分からない」
そんな気持ちが隠れていることがあります。
だからこそ、行動だけを止めようとするのではなく、
「この子にとって、動物病院はどんな場所になっているんだろう?」
と考えてみることも大切です。
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🏥 動物病院は、その子が生涯にわたって通う場所
私たちがとても大切にしたいと思っていることがあります。
それは、
「動物病院は、その子にとって生涯にわたって通う場所」
だということです。
子犬・子猫の頃のワクチンや健康診断から始まり、病気やケガの治療、そして年齢を重ねれば、通院する機会が増えていくこともあります。
だからこそ、動物病院で過ごす時間が、その子にとって少しでも安心できるものであってほしいと思っています。
「診察ができたから、それで大丈夫」
ではなく、
そのとき、その子はどんな気持ちだったのか。
次に病院へ来たとき、どんな気持ちで扉をくぐるのか。
そこまで考えてあげることも、とても大切だと思います。
もちろん、病気やケガの治療では、どうしても苦手な処置が必要になることもあります。
すべてを「楽しいこと」にするのは難しいかもしれません。
それでも、
「ここに来ても大丈夫」
「怖いことばかりじゃない」
そんな経験を少しずつ積み重ねていくことには、大きな意味があります。
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🍪 「病院=診察される場所」だけにしない

動物病院への印象を良くするために、特別なことをしなければならないわけではありません。
たとえば、いつものお散歩コースに動物病院を入れてみる。
病院の玄関まで来たら、大好きなおやつをもらって、そのまま帰る。
最初は、それだけでもいいと思います。
診察室に入らなくてもいい。
診察台に乗らなくてもいい。
身体を触られなくてもいい。
「病院の近くに来たら、おいしいものがもらえた」
「今日は何も嫌なことが起こらなかった」
そんな経験を少しずつ重ねることで、病院に対する印象が変わっていく子もいます。
もちろん、その子がすでに病院を強く怖がっている場合には、無理に玄関まで連れて行く必要はありません。
その子が落ち着いていられる距離から始めて、「怖かった」という経験を増やさないことも大切です。
病気になってから初めて「病院に慣れよう」とするのではなく、元気なときから、
「ここに来ても大丈夫」
という経験をつくってあげる。
それだけでも、その子のこれからの通院を支える大切な準備になると思います🌱
※病院によっては、診察以外の立ち寄りやおやつの対応が難しい場合もあります。実際に行う際は、かかりつけの動物病院に確認してみてください。
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🌱 気持ちよく通院できることは、その子の生活を守ることにもつながる
病院に入れること。
診察を受けられること。
必要な検査や治療を受けられること。
そして、年齢を重ねても必要な医療につながり続けられること。
気持ちよく通院できることは、単に「病院嫌いにならない」ということだけではありません。
その子の健康と、これからの生活を守ることにもつながっていきます。
だから私は、動物病院がその子にとって、少しでも良い印象の場所になってほしいと本当に思っています。
「病院が苦手だから仕方ない」となる前に。
その子が見せている小さなサインに気づいて、できることから少しずつ。
「ここなら大丈夫」
と思える経験を増やしていく。
そんな診療を、これからも大切にしていきたいと思っています🐶🌿
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📚 参考文献
Pokorna V, Voslarova E, Bedanova I, Kotianova L, Vecerek V.
Assessing canine stress in a veterinary clinic setting: Behavioral and thermographic analysis.
Journal of Veterinary Behavior. 2026;86:9–17.
DOI: 10.1016/j.jveb.2026.04.008.
※本記事は上記研究を参考に、行動診療科の臨床経験も踏まえて作成しています。
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